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ディアヒストリー9

私が罪人と話をするようになって十数日が過ぎたある日、突然領主様に呼び出された。昔の私ならば何とも思わない。呼び出しはただの呼び出しで、きっと任務についての伝達だろうと躊躇いもせず書斎の扉を叩いていた。だが今の私は、ドアをノックすることさえ酷...
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ディアヒストリー8

エリーナ 全く……。どこまでも平和なお方だな。シャッフル王女は 薔薇園の迷路を抜けつつ、私はそんなことを考えていた。普通、囚人と散歩に出かけたらどうかなんて提案あり得ない。あり得なさ過ぎて、呆れて思わず笑ってしまった。しかし。 エリーナ そ...
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ディアヒストリー7

エリーナさんに牢屋番をさせてから3日が経とうとしていた頃、牢獄塔頂上の見張り台に人の姿を見つけました。酷く虚ろな表情。見張り台の縁に頬杖をつきぼーっとどこかを見つめているその姿で、すぐにエリーナさんだと気付きます。不意にこみ上げる懐かしさ。...
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ディアヒストリー6

シャッフル王女より牢屋番を命じられた私は、今まで囚人たちの世話にあたっていた兵から引継ぎを受け記録を受け取る。自らの罪を恥じ大人しく捕まっているかと思えば、兵を脅し釈放を懇願し暴れまわっているという。 エリーナ 心からの懺悔あらば解放してや...
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ディアヒストリー5

それから5日後。私は囚人たちに対する罪悪の気持ちに駆られ、再び彼らの元を訪れました。 シャッフル王女 待たせてしまってごめんなさい。ですがもう間もなく、皆様は自由を取り戻せるでしょう。王女と呼ばれながら、私の権で牢を開けて差し上げられなくて...
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ディアヒストリー4

柔らかな朝日が、白いブロケードのカーテンの隙間から部屋の中へ注ぎ込みます。こんなに素晴らしい朝だというのに、私の身体はまるで鉛のヴェールを纏っているかのようで、レースと刺繍で飾られた美しいベットの天蓋を見つめたまま起き上がる事すら叶いません...
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ディアヒストリー3

城へと続く一本道。街の喧騒が一切消えた静かな林を進みます。やや急ぎ足でしばらく進むと、私の背丈を優に超える石造りの城壁が見えて参りました。道の果てには、トランプのスート模様に装飾された鉄の門が。私の姿を確認し背筋を正す若い近衛兵が、本日の城...
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ディアヒストリー2

つつがなく公務をこなし、領主が不在のまま半月が経った頃の事。書斎にて書類チェックに勤しむ私の耳に、ノックの音が届きます。お入りになってと中に招くと、当家に仕える侍女が恐る恐る声を掛けてきました。 侍女ヨハンナ 殿下。大変申し上げにくい事なの...
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ディアヒストリー1

時は1621年。とある快晴の日和。心地よい風が妖精の羽音と共に流れ行く午前10時。私が賓客へのご案内を終え、城に戻ろうとした時でした。 カール 勘弁して下さいよエリーナさん! エリーナ いやダメだ。どんな理由があろうと、例外は認められない ...