未開の森。
魔術師ベトと共に「魔術師達の館」を管理し、その門番を務める女魔術師。
派手さのない真っ黒なゴシックドレスとフード付きのローブを身に纏い、訪れる者を迎え入れる。
多くの時間を未開の森で過ごしているダレスは、一羽の烏を使役している。
この烏は「人の抑圧された深層心理を感じ取る力」を秘めている魔獣で、未開の森に迷い込んだ者の中から「魔術師適正」のある者を選別し、その素質のある者を「魔術師達の館」に誘っている。
ダレスの烏を追いかけ、無事ベトとダレスの前にたどり着けた者には、入室許可の仮面が手渡されるが、その他の迷い人に対しては、非常に強力な精神的苦痛と酷い幻覚をその者に植え付け、二度と未開の森に近づけなくする。
過去に未開の森に迷い込んだディオールに使役している烏を放ったところ、尾行に気付かれ捕らえられ、館の前まで自力で到達されてしまう事件があった。
「この烏は君のかね？ ちょうどいい食材が手に入ったと思ったのだが……」
と、大切な烏の足をわしづかみにされた状態で目の前に立たれ、暗に入室許可を求められ、冷や汗を流しながらベトに仮面を渡させた経緯がある。
無論。
ディオールは癖が強いが、状況や言葉を操る事に長けた、ある種の魔術師であった。